植物バイオ研究会
植物を利用する新しいバイオ産業は、農産物・食糧、医薬品や燃料を含む有用物質・素材の効率的かつ安定的な生産を目指した国家の成長戦略や安全保障戦略の観点だけでなく、飢餓、疾病や環境など人類が今後直面する地球規模の様々な課題に貢献し得る産業であるという観点でも非常に重要です。経済協力開発機構(OECD)は「The Bioeconomy to 2030: Designing a Policy Agenda」(2009年)において2003年にバイオ産業全体の数%しかない農業や生物工学分野の研究開発投資が2030年には全体の75%に達すると予測していますが、その根拠としてゲノム編集技術などを用いた農業や物質生産に関する産業の興隆を想定しています。
遺伝子組換え植物や植物工場などを主体とした国家プロジェクトは断続的に実施され、ゲノム編集技術を用いた新たな育種技術(NBT)に関する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)も始まりました。これらの取組みの中には、早期の社会実装が期待されるものがある一方、現状では事業としてのビジョンを描きにくいものもあります。一方、企業による植物バイオへの取組みは、積極的なR&D投資がおこなわれた1980年代をピークに総じて規模や分野が限定的なものとなっています。しかし、会員企業を対象とした訪問や意見交換を通じて、植物の産業利用の可能性を再評価されている企業が多いことがわかりました。
このような認識のもと、植物を利用する新しい生産技術の可能性とその実用化における課題について、所属や専門性の壁を越えて議論し、開発されるべき基盤技術や橋渡し技術等を選定し、課題の突破にむけ産官学が連携して取り組むことを目指して本研究会を設立しました。
会長 矢﨑 一史
(京都大学生存圏研究所)
会長・副会長
会長
矢﨑 一史 氏(京都大学 生存圏研究所 森林圏遺伝子統御分野 教授)
副会長
松本 寛人 氏(出光興産(株)次世代技術研究所 シニアアソシエイト)
目的
植物を利用する新しい生産技術の可能性とその実用化における課題について、所属や専門性(産業界、アカデミア等)の壁を越えて議論し、開発されるべき基盤技術や橋渡し技術等を選定し、課題の突破に向け産官学が連携して取り組む。
活動内容
講演会の企画・開催
研究会メンバーのニーズに合わせながら、植物を利用した物質生産、新品種・栽培方法等の先進農業、他バイオエコノミー戦略を見据えた幅広い話題の講演会を企画しています。
BioJapanセミナーの企画
農業・植物バイオ、環境・エネルギーに関するシンポジウム、展示等の企画に協力しています。
研究会メンバー
メンバー構成
学界 12名 / 産業界 53名 / 公的研究機関等 21名 / 他 3名 計89名(2024年6月現在)
前年度活動
- 2024年3月22日
2023年度第2回勉強会 「盲点をついた植物によるものづくり新展開」(ハイブリッド・JBA)
アポミクシス、種の障壁を規定する胚乳のエピゲノム制御とその展望 木下 哲(横浜市立大学)
ゼニゴケの作物化と合成生物学プラットフォームの実用化に向けて 水谷 正治(神戸大学)
- 2023年10月25日
2023年度公開講演会 「土壌微生物を活用した持続可能な食料生産」(ハイブリッド・JBA)
情報提供等(経緯説明、海外の政策・企業動向等) JBA事務局
持続可能な食料生産の実現に向けた社会的課題 下川 哲(早稲田大学)
持続可能な食糧生産へのバイオスティミラントの活用 日高 啓(日本バイオスティミュラント協議会 OATアグリオ)
エンドファイトがイチゴに花を咲かせる!? 成澤 才彦(茨城大学/エンドファイト)
土壌微生物を知り理解するためのゲノム解析技術 細川 正人(早稲田大学/bitBiome)
- 2023年6月2日
2023年度第1回勉強会 「植物ゲノム編集の新潮流ー比較ゲノム解析・プライムエディティングー」(ハイブリッド・JBA)
進化×AIが紐解く植物のゲノム動態 ~植物「らしさ」を創る原動力とは? 赤木 剛士(岡山大学)
植物ゲノム編集~新ツール群とその可能性 菅野 茂夫(産業技術総合研究所)
入会方法・お問い合わせ
本研究会の運営・企画等への積極的な参画にご興味があるJBA法人会員・個人会員(ただしアカデミア所属の方のみ)の方がいらっしゃいましたら、下記事務局までメールでお問い合わせください。
お問い合わせ
(一財)バイオインダストリー協会
植物バイオ研究会事務局 本田・坂元・青木
TEL:03-6665-7950 E-mail:greenbio(at)jba.or.jp ((at)は@に置き換えて下さい)